DAYS -静かに積み重ねた私たちの日々-



そして迎えた文化祭当日、俺は当然馬車馬のように忙しく動き回っていた。
それでも昼を過ぎるとある程度のイベント事も終了し、少しは校内を見て
歩く余裕もできて、そんなときに誰かを探している様子の相原を見つけた。


「相原、西浦と一緒じゃなかったのか?」


「あっ沼くん、さっきまで一緒だったんだけど、途中ではぐれちゃった
みたいなの」


…そろそろベストカップルの投票結果がまとまる頃だ。俺の勘が確かならば、
西浦は結果が気になってるに違いない。したがって、あのバカは結果発表の
会場である講堂付近にいるだろう。いや、ギャラリーのふりをしてもう会場に
入っているかもしれない。


「たぶん俺アイツの居場所わかるよ。こっち」


そういって俺は相原を講堂へ連れて行く。相原ももちろん講堂でこれから
ベストカップル賞の発表があることは知っている。だけどまさか自分たちが
選ばれるわけがないと思ってる。相原、自分たちを過小評価しすぎだよ。

講堂の前まできたところで、中から大きな歓声が上がった。1歩遅かったかな、
と小走りで講堂の入り口に向かい、ゆっくりと扉を開ける。


「来た来た、マイハニー希、カモーン!」


入り口で固まる相原の向こうに、ステージに立つ西浦の姿が見えた。容赦
なく壇上に連れて行かれる相原を見送っていたら、ステージから西浦が俺に
向かって投げキッスをしやがった。それはここに相原を連れてきた俺への
感謝の気持ちだろうけど、そんなものもらったって嬉しくもなんともない
よ。ちなみに票数はダントツの1位。相原はキツネにつままれたような顔を
してるけど、自分で思ってる以上にお前らは目立ってるんだよ。
だけどな西浦、いくら記念写真だといっても、壇上でキスはやりすぎだ。



次に顔を合わせる時、相原は俺の顔を見て何というだろうか。
『沼くんが講堂に連れて行ったりしなければこんなことにならなかったの
に!』とでもいわれるだろうか。

でも困ったことに、真っ赤な顔して怒る相原も好きなんだ。



ベストカップル賞で西浦と相原に1票入れたことは、一生の秘密にしておこう。


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