君がいないと
もう今日で三ヶ月、ビアンカさんと会っていない。キッチンもリビングも重苦しいな……。

そんなことを考えていたら、料理は失敗してしまった。ポテトは薄味で、パスタは塩っけが多い。

「まあ、食べられないことはないかな……」

一人でいただきますと言い、食べ始める。三ヶ月前まで、ビアンカさんは僕の目の前にいて僕が食べるのをわくわくした表情で見ていた。まるで何年も会っていないような感覚に、自分がそれほどビアンカさんのことを想っているのだと知る。

ビアンカさんがいない夜を過ごすうちに、自分がどんなに小さな人間か知った。笑えない。笑えないよ、こんな寂しい夜は……。

頬を気が付けば涙が伝っていて、食べる手が止まる。一人で食べる食事は味気なくて、全然おいしくない。寂しいだけだ。

「人の温もりを知ったら戻れないって本当なんだね……」

寂しくて泣くなんて、まるで小さな子どもみたいだ。そう思っていると、ガチャンと玄関の方で音がした。
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