コンチェルトⅡ ~沙織の章
沙織の父は 普通のサラリーマン。
母は 専業主婦で いつも家にいた。
杉並区の 実家は 父の両親から 譲り受けた家らしい。
祖父も祖母も 沙織が 小さい頃に 亡くなっていたから。
沙織の記憶には 残っていないけれど。
都内の 一戸建て。
父一人の収入で 家族を 養えるくらいには 裕福で。
贅沢は しないけれど 不自由のない生活。
成績の良かった沙織は 名門の 私立女子高に合格した。
付属の小学校から その高校に通っている生徒は 裕福な家庭の子が多い。
でも沙織は それを 羨むことなく 学生時代を過ごした。
沙織の家も 貧しくはなかったから。