コンチェルトⅡ ~沙織の章
7

「俺達、そろそろ こっちに 移ってきたいんだけど。」


紀之が 言ったとき お父様は嬉しそうに微笑んだ。

お母様は 驚いた顔で
 

「いいの?沙織ちゃん。」

と言った。


沙織は笑顔で頷いて


「子供達 うるさくて ご迷惑かけちゃうけど。一緒に住ませて下さい。」

と言った。
 

「迷惑じゃないわよ。すごく嬉しいわ。」

とお母様は 少し涙汲んだ。


智之と麻有子も 嬉しそうに 微笑んでいる。
 


歓迎されている 喜びが 沙織を包む。


こんなに 自分は 必要とされている。


未熟で 至らないこと だらけなのに。


沙織の胸は 温かな感動で いっぱいだった。
 


紀之が 幸せに 暮らせるように。

子供達が 真っ直ぐに 育つように。

ご両親や智之達と もっと仲良くできるように。


沙織の心を 占める責任感は 家族を 思うことばかりだった。
 

みんなが 沙織を認めてくれるから。

沙織に 期待してくれるから。


沙織は もっと成長したいと願っていた。










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