コンチェルトⅡ ~沙織の章

翔が 年中に進級すると 1才違いの絵里加が 同じ幼稚園に入園した。

麻有子と 幼稚園で会うことが 沙織は 楽しかった。


幼稚園の行事や 父母会など 沙織と麻有子は いつも一緒にいた。
 

「お姉様がいて 本当に良かった。すごく安心です。」

麻有子は 沙織への感謝を 素直に 言葉で表す。
 
「私こそ 麻有ちゃんと一緒で すごく楽しいわ。」

沙織が 笑顔で答えると 麻有子は 控えめに首を振る。
 

「絵里加も カッ君と一緒だから すぐに慣れたし。本当に 助かっているんです。」

と言った。
 

毎朝 麻有子は 壮馬を ベビーカーに乗せて 絵里加を送ってくる。


翔が 壮馬の年頃には 沙織達は 松濤に住んでいた。


子供を 二人連れて来る麻有子は 相当忙しいだろう。
 

「麻有ちゃん。朝、大変でしょう。」

沙織は 壮馬を見て言う。
 

「ううん。智くんが 手伝ってくれるから。」

と麻有子は 照れた笑顔を 沙織に向けた。



幼稚園が 午前中の日は そのまま 松濤の家で お迎えまでの 時間を過ごす。

そして お母様も一緒に お迎えに来て みんなで ランチに行くことも多かった。
 

そんな沙織達は ママ友の間で 話題になっていた。
 

「カッ君ママと絵里ちゃんママは お嫁さん同士でしょう? すごく仲が良いのね。」

沙織は よくそう言われた。
 

「私達 お母様と3人 本当に気が合うから。一緒にいると 楽しくて。」

沙織は 笑顔で答える。
 

「ええっ!うちの義母なんて 怖くて。」

ママ友の言葉に 沙織は 控えめに微笑む。
 

「義母も義妹も 本当に 優しいから。私 恵まれているの。」

と沙織は言う。


沙織達を みんなが 羨ましいと思っていた。


上品で 優雅で いつも仲よく 一緒にいる家族だから。


沙織も麻有子も そんな まわりの視線に 満足していた。



 









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