コンチェルトⅡ ~沙織の章
「それでさ。智之に 会社を手伝ってほしいと 思っているんだけど どう思う。」
紀之が切出すと お父様とお母様は 微笑んで 顔を見合わせた。
「そうなれば 紀之も安心だね。誰より 信頼できるから。ただ 智之は どう思っているのかな。」
お父様は 紀之を見つめた。
「土地が見つかったら そのタイミングで 話したいと思うんだ。」
紀之が 言うと
「何か 家で釣るみたいね。」
とお母様に言われ、沙織も 思わず笑う。
「俺が 引退するまでに なんとかできると いいな。」
お父様は 晴々とした声で 言った。
沙織は ハッとして お父様を見る。
いつの間にか お父様は そんな年齢になっていた。
しっかりしなければ。
いつまでも 甘えてはいられない。
沙織は 改めて 家族を守る責任を 感じていた。