コンチェルトⅡ ~沙織の章
翌日 沙織は お母様と二人で 中谷さんのお宅を訪ねた。
家を 外から見た後で お母様は 思い切ってチャイムを押す。
「1丁目の 廣澤と申します。突然お伺いして 申し訳ありません。おうちの売却を 検討されていると伺ったものですから。」
インターフォン越しに お母様が言うと
感じの良い奥様が 玄関を開けてくれた。
「荷造りを 始めているもので 散らかっていますが。」
と言って 室内に通された二人。
奥様のお話しは 沙織が 聞いたとおりだった。
「主人の仕事の拠点が ニューヨークに変わりまして。もうこちらに 戻ることは無さそうなので。思い切って 手放そうということになりました。」
上品な奥様は お母様と沙織に 気持ち良く 話してくれる。
「次男一家の 家を探しているのですが。この近くは 中々なくて。是非 前向きに 検討させて下さい。」
お母様も 正直に話す。
簡単に 家の中を 見せて頂き お母様は とても気に入っていた。
週末に お父様とご主人を交えて お会いする約束をして 沙織達は失礼した。