コンチェルトⅡ ~沙織の章

翌朝 みんなが 出かけた後で
 
「お母様 私達が お父様から頂いている援助 紀之さんのお給料 増えたから もう大丈夫です。」

沙織は お母様に言ってみる。


お母様は、
 

「沙織ちゃん ありがとう。でも お父さんが お給料をもらっている間は 援助させて。それも お父さんの 楽しみだから。」

と温かい目で 沙織を見た。
 

「これからは 私達が 智之さんや子供達を 助けるようにならないと。私 いつまでも 甘えてばかりで。」

沙織が言うと
 

「沙織ちゃんは 本当に優しいのね。でも 家族のお金だから。みんなで 使えばいいのよ。」

お母様は 優しく微笑む。


沙織は 驚いて お母様を見る。

莫大な財産を 『 家族のお金 』と言ったお母様。
 
沙織は その発想に 感動していた。


「いつか 私達も みんなを 助けるようになれるのかしら。私 不安なんです。」

沙織も お母様のように 家族に 深い愛情を注ぎたい。


お父様とお母様を 受け継いで。


家族を支え 守るために。


「沙織ちゃんなら 大丈夫よ。時期がくれば 管理できるようになるから。私 何も 心配してないわ。」

とお母様は 沙織を見つめた。
 

「お母様。」

沙織は 言葉に 詰まってしまう。
 

「それに 今は お金を使うことも 勉強よ。子供達の 成長の為の 投資だと思ってね。さあ、そろそろ 麻有ちゃんが来るわよ。今日は どこでランチする?」

お母様は 明るく言った。
 
 










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