コンチェルトⅡ ~沙織の章
冬休みになった 子供達は 賑やかに 両方の家を行き来する。
樹は 嫌がらずに 小さな従兄妹達の 面倒をみる。
「今日のおやつ 麻有ちゃんの 手作りチーズケーキだったよ。」
麻有子は いつも 樹と翔の分も おやつを 用意してくれた。
「タッ君が 良く遊んでくれるから。私 すごく 助かっているんです。」
沙織が お礼を言うと 逆に 麻有子に 感謝される。
「姫も壮馬も 俺達の 子分だから。」
樹は 翔と顔を見合わせて 笑いながら言う。
「絵里ちゃん達に 悪い事 教えないでよ。」
沙織も つい笑顔に なってしまう。
生意気に なってきた樹も 家族と過ごす時間を とても大切にしてくれる。
子供達の 健全な成長が 沙織の自信になっていく。
子供達と 積極的に 係ってくれる紀之に
沙織は ずっと感謝していた。
だからこそ 家族揃っての ハワイ旅行は 夢のような時間だった。
お父様が 借りてくれた 一戸建てのコンドミニアムは ゆったりと豪華で。
誰にも 気兼ねなく 楽しめた。
日中は ビーチで遊んだり 買い物を したりして過ごす。
夜 子供達が 眠った後は リビングに集まって みんなで話す。
優しくて 楽しい時間。
家族みんなが それぞれを 思いやる 豊かな時間。
「紀之さん 私 今 本当に幸せ。」
寝室に 引き上げた後 沙織は 紀之に言う。
「ありがとう。」
紀之は 沙織を 抱き寄せて答えた。
紀之も きっと 今の幸せを 喜んでいる。
だから 沙織に ありがとうと言った。
「ありがとうは 私だよ。」
照れた瞳で 沙織を 見つめる紀之に 沙織が言うと
「俺も 沙織に ありがとうだから。」
紀之は 沙織の頭を 胸に押し付ける。
沙織の胸は 甘い感動で 満ちてくる。
これからも もっと頑張ろう。
紀之が 自慢できる 奥様になろう。
樹と翔にも 尊敬される 母親になろう。
ずっと お父様とお母様を 大切にして 家族を守っていこう。
沙織の胸に 溢れる感動は やっぱり 家族を思うことで いっぱいだった。