コンチェルトⅡ ~沙織の章
お父様とお母様は いつも発展的で
若い沙織でさえ 驚くことが多かった。
それは 会社と 大勢の社員を 守るために
身に着いたものだと 沙織は気付いた。
お父様もお母様も 自分の考えに 固執せず
いつも柔軟に まわりを受け入れていた。
だから みんなが お父様やお母様と 一緒にいて 楽しかった。
「しかも 智之って 機を見る目が すごいんだ。俺が 躊躇していると 智之 煽ってくるんだ。」
紀之の言葉に 驚いて
「えー。そうなの。智之さんの方が 慎重に見えるけど。」
と沙織が言う。
お父様は 楽しそうに笑って
「こう見えて 紀之の方が 慎重だよ。それだけ 責任感が強いんだろう。でも あまり慎重だと チャンスを逃すから。智之の 大胆な決断と 丁度良い バランスじゃないかな。」
お父様の言葉に 沙織は 驚いて 紀之を見つめた。
「へえ。意外だわ。」
不思議そうに 言う沙織に、
「知らなかったの。俺が慎重で 我慢強いって。」
紀之は 得意気な顔で言った。
「うん。フフフッ。」
笑う沙織に みんなも笑い。
温かい 普通の団らん。
沙織の大好きな 笑顔に 包まれた時間。