コンチェルトⅡ ~沙織の章

いつか 自分も この檀上に 立つ覚悟を持って。
 

「ママ。パパ、カッコ良かったね。」

社員の退席を 待つ間 リラックスした雰囲気の中で 絵里加が言う。
 

「そうね。後で 絵里ちゃんが パパに言ってあげて。パパ 喜ぶわ。」

麻有子は 優しく 絵里加に話す。


樹と翔は 顔を見合わせて ニコニコ笑っている。


子供達は こうして 自分の立場を 理解していくのだろう。


自分の家は 特別だということを。
 

「絵里ちゃん。タッ君パパの お話しは どうだった。」

沙織が 絵里加に聞くと 
 

「タッ君パパ 少し怖かった。いつもみたいに ニコニコしてないから。」

絵里加の 子供らしい感想に みんなが 笑ってしまう。
 

「一応、社長だからね。真面目に話さないと みんなに 笑われちゃうでしょう。」

と樹が 絵里加に言う。


その言葉に また 笑ってしまう。


子供達の 素直さが みんなの緊張を ほぐしてくれる。



「ホテルのパーティは お母さん達 忙しいから。樹、みんなをお願いね。」

沙織が言うと 樹は笑顔で
 

「任せなさい。」

と頷いた。










 
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