コンチェルトⅡ ~沙織の章
祝賀会が 終わりに近付き
挨拶に回っていた 紀之と智之が
それぞれ 子供達を呼んだ。
懇意にしている お得意先に 子供達を紹介している。
紀之の 後ろに従う 樹と翔は
きちんと 挨拶をしていて 紀之は 誇らしげに微笑む。
智之に 手を引かれた 絵里加と壮馬も
物怖じしない様子で 樹達を真似て 挨拶をする。
「これは 可愛いお嬢さんだ。副社長、将来泣かされるね。」
褒められた絵里加は 不思議そうに 智之を見上げる。
「みんな お利口そうで 将来が楽しみですね。」
温かい言葉を 頂き 紀之と智之は 嬉しそうに笑っている。
少し離れた テーブルで その様子を 見ていた沙織達。
それぞれの心に 誇らしい思いが 満ちてくる。
沙織と麻有子は 普通の家から 嫁いできたから。
子供達を 育てる為に たくさん 心を砕いてきた。
いつか 経営を担う 子供達だから。
子供達は 沙織達の 期待以上に 良い子に育っている。
人の頭越しに 沙織と麻有子は 目を合わせて微笑む。
二人の心は 同じ思いだった。
社長、副社長を 就任した紀之と智之。
その家庭に 恥じない子供達。
「お食事は ちゃんと食べましたか?」
聞かれた壮馬は
「はい。海老が とても美味しかったです。」
と答えて 賑やかな笑い声を 呼んでいた。