コンチェルトⅡ ~沙織の章
医師を 目指すと言った翔は
それからも 変わらない生活を 続けていた。
塾に行きたいと 言う訳でもなく
寝る間を惜しんで 勉強している様子もない。
それまでと 同じように 夕食後は リビングで 紀之や樹と いつまでも話している。
「翔。少しは 勉強しなさいよ。こんな医学生 いないわよ。」
と沙織が はらはらする程 翔は 普通の生活を続けていた。
でも成績は いつも トップクラスを 維持している翔。
「翔。何で そんなに 勉強できるのかな。俺と どこが違うの?」
成績表を 見る度 樹は 驚いた顔をする。
「本当よね。全然 勉強していないのに。もしかして 翔の学年 異常に レベルが低いとか?」
沙織も 樹に同意して言う。
「お母さん ひどいなあ。俺の学年全員を 敵に廻す気?俺だって やる時は やっているの。」
そんな会話を お父様とお母様は 笑って聞いている。