Tear Flowers〜快楽は毒に変わる〜
「上は薬物を売り付けている売人は、薬物関係の前科者かスラム街の人間の犯行だと思っている。この学校にも、怪しい人物が二人いるんだ」

シオンがそう言い、二枚の写真を見せた。一枚目には、無表情で黒板に字を書くグレーのスーツを着た男性が、二枚目には、ピンクのブラウスを着て笑顔で生徒と話す女性が写っている。

「男性の名前はユリウス・ヘクソカズラ。国語の教師だ。昔、友人に薬物所持の疑いをなすりつけられ、そのショックから自殺未遂をした過去がある。女性はローズ・バートレット。音楽の教師だ。荒れていた時期があり、薬物使用で少年院に入っていたこともある人物だ」

「確かにどっちの人も薬物を生徒に売る可能性はありそうね……」

レティシアがそう言い、フィオナも頭の中で二人の人物のことを考える。ユリウスは自分と同じ目に遭わせてやろうと事件を起こす可能性があるし、ローズも更生したと見せかけてもう一度薬物に手を出しているかもしれない。
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