花よ咲け
どうしよう……紫吹さんがいなくなってから日向君も私も無言状態。ノートのことも知られちゃったしいろいろ見ちゃったし何から話せば……

「景浦さん、戻したんだ、眼鏡に。」
「はい。私にはコンタクトは似合わないから。」

「そんなことないよ。でも…俺は眼鏡の景浦さんのほうが好きだな。」
「ありがとうございます。」

「あ、いや、そういう意味じゃなくて!…俺の言葉……覚えててくれたんだね。」


「日向君の言葉は忘れたことがありません。初めて話しかけてくれた時も、私を励ましてくれた時も、いつも勇気をくれます。日向君が声をかけてくれたからいろいろなことが綺麗に見えて楽しいんです。私が地味でまじめだっていじめられてた時《謙虚で一生懸命生きていてカッコいい》って日向君は言ってくれました。私はあの言葉に救われたんですよ。」


「救われたのは俺のほうだよ。どんなに頑張っても本当の自分をさらけ出せなくて俺が迷ってた時、景浦さんと出会ったんだ。最初は真面目な子だなって思ったけど何事も一生懸命取り組んでいて俺が言った言葉で笑ってくれてこの子は今まで俺が出会ってきた女の子たちとは違うんだって思った。その姿が俺にとっては励みになって絶対にまた話をしたいと思った。」






私にとって日向君が励みになっていたように私も日向君の励みになれていたんだ……。




「日向君のためになれて、私幸せです。」


「まだだよ。」
「え……?」




「それだけで幸せを終わりにさせない。俺が……俺がもっと景浦さんを幸せにしたい。もっともっと笑顔でいっぱいにしたい。だから……俺と付き合ってくれますか?」







ずっと私が欲しかった言葉。夢にまで見ていた幸せの言葉。



ずっと雑草だと言われてきた私が光のある世界に咲き誇ることができた。温かく包みこみ勇気と希望を与えてくれる太陽は今私の前に…隣にいる。

「はい……私を幸せにしてください。」








このぬくもりをつかみ未来を刻む。立派な花びらを咲かせるために。




―完―
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