花よ咲け
「メイク良し、服装良し……下着も大丈夫……。」


待ちに待った日曜日がとうとう来た。景浦さんたちとは気まずくて学校でも避けてしまっていたけれど諦めてくれたのか話しかけてくることはなかった。


待ち合わせは川袋駅。どこに行くかは全部柳さんに任せてしまったけれどデートができるだけで嬉しい。


「あら、おしゃれしてどこか行くの?」
「うん。友達と遊んでくるね。」

「楽しんでおいでね。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
待ち合わせの場所で待つこと15分。汗を流しながら私服で私の元へ走ってくる柳さん。

「僕が言ったことなのに遅れてごめんね。」
「全然大丈夫ですよ。私も今来たところなので。」

「私服…初めて見た。」
「はい…柳さんのために頑張りました。あの、どうですか…?」

「…いいと思うよ。」

「そう言ってもらえて嬉しいです。」



今日は隣町の動植物園に行くということで電車に乗ることに。景浦さんたちも今頃植物園に行ってるのかな…?



「席空いたよ。座る?」

「いえ、私は大丈夫です。あ、おばあさん、席どうぞ。」


「おやまあ、ありがとう。優しい子だねえ。」
「気にしないでください。」


「いつも席、譲ってるの?」

「もちろんです。年上の方は敬います。」
「へえ……。」


私、何か変なこと言ったかな…?思ったことを言っただけなんだけど……


「僕、そういう子嫌いじゃないよ。」


真っすぐ見つめられながら言われると顔が熱くなる。この人、無意識に言ってるのかな…?



「そ、そんな恥ずかしいこと言わないでください…!私、嬉しくなっちゃいます。」


「……本当の君は、そんな感じの子なんだね。絵を描いてるときは知らなかった。」



「こういう子…嫌いですか…?」

「いいんじゃない…?可愛いと思う。」



今日一日、心臓持つかな…?
< 27 / 33 >

この作品をシェア

pagetop