双子とドラゴン
「イルーダと王子くんのとこは人間来ない分平和そうだね」
「ああ、そうだな。しかしお前らも変わらんだろう?」
「いや、最近は人間達の使う魔法も進化が見えて来ていてな」
「術を破る人もたまにいるよね。それが夜中とかだと本当最悪」

 住処を荒らされないようにガルーダがUターンができる結界を張っているけれどたまに極たまにその結界を越えてくるやつがいる。
 そういう奴らは大体足元に仕掛けてあるテレポートの魔法陣に引っかかり山のふもとに転送される。
 が、その発動音が煩くて深い眠りについていても飛び起きてしまうほどなのだ。

「荒らされるの嫌いなくせに他人の住処は荒らしていくんだからムカつくったらありゃしない」

 姫は呆れながらにため息をつく。
 姫が疲れた様子で言い、それを王子が労っている。
 イルーダが席を立ち、キッチンにいるガルーダに耳打ちをする。

「姫の姿は見られていないだろうな」
「ああ、認識されないよう魔法をかけている。そっちこそ王子の姿は」
「隠してはいるが時間の問題だろうな」

 イルーダとガルーダは何かを案じている様だった。
 もう少し話をしてから四人は解散する。
 ドラゴンの姿に戻ったイルーダの背中に王子が乗り二人は住処へと帰って行った。
 二人が帰った後ずっと思案しているガルーダに姫が話しかける。

「どうかした?ガルーダ」
「いや…、姫は人間の世界に興味あるのかと思ってな」

 姫は首を傾げてキョトンとした表情で言う。

「ないよ?多分嫌いな部類に入ってるんじゃないかな。王子くんは分かんないけど」
「…王子は姫と我らドラゴン以外どうでもいいと思っていそうな」
「それはね分かる。でもボクは住処荒らされてるから嫌いかな。人の住む街に降りたいとも思わないから」
「まあ、そう思ってくれてる間は安心だがな」

 本人に確認してもガルーダ及びイルーダの不安が無くなることはなかった。
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