捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
「奏士くんと姉さん、可愛いメッセージ送り合ってるね。中学生みたい」
「いやあ、ラブラブであてられちゃいましたわぁ」
「わ、わすれて!」

慌てる私のスマホを由朗が取り、勝手にカメラを起動させた。

「ほら、沙織ちゃんも寄って。三人で飲んでるところを奏士くんに送ってやろう」
「そうね、羨ましがらせちゃおう!」

私たちは笑いながらジョッキを手に写真を撮った。私の顔はまだ真っ赤だったと思うけれど、お酒のせいってことにしておこう。



沙織さんがビッグニュースを持って現れたのは翌週のことだった。

「里花さん、奏士社長が一時帰国します。なんと明後日!」

ランチタイムの宮成商事の総務部オフィスに現れた沙織さんは上機嫌だ。たまにこうして来客扱いでやってくるので、オフィスの人間は誰も不審には思わない。しかし、私は沙織さんの言葉に目を見開き素っ頓狂な声をあげてしまった。

「え!? うそ!」

変な声が出てしまった口を押さえ、慌てて周囲をキョロキョロと見回す。ランチタイムなので、ほとんどの社員が出払っていてよかった。沙織さんとの会話も聞かれずに済みそうだ。一応、声をひそめて尋ねる。
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