捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
私の人生のレールは産まれた瞬間に敷かれていたのだ。
こういった家庭に生まれ、裕福な暮らしができている以上、両親の意向に従って当然。下手にやりたいことを主張すれば、迷惑がかかり、面倒が起こる。
よくも悪くもしがらみのある家柄だった。
もちろん、私も人間なのでわずかに独立心が芽生えたことはあった。中学生の頃だ。
私には好きな人がいた。初恋だった。
いずれ私は、同じような家柄、資産のある家に嫁がされる。それならその相手くらいは主張しよう。子どもらしい我儘を言って、その男性と婚約させてもらおう。
家同士の格は問題ないはずだし、親に決められてしまう前に、意見を差し挟める可能性があるなら言っておかないと。
将来の夢はお嫁さんに限定されている。それなら、好きな人の下へ嫁ぐ夢くらい見たい。
チャンスは今。なにしろ、彼は私より五つ年上の大学生だった。
『奏士くんの留学が決まったぞ』
父にそう言われたのは、まさに私が婚約について相談しようとしていた矢先だった。
三栖奏士さんとの婚約を……。
『奏士くん、アメリカの大学を出たら、そのまま向こうで暮らすんでしょう』
『三栖の海外拠点のトップに就くそうだ。今は玄社長の叔父がついている役職だな。三栖グループ本体の後継者は兄の隆士くんだから、順当な話だろう』
私の初恋の人はアメリカへ旅立つ。卒業後も海外で活躍する予定だそうだ。
そんな人との婚約を願い出るほど、私も厚かましくなかった。
こういった家庭に生まれ、裕福な暮らしができている以上、両親の意向に従って当然。下手にやりたいことを主張すれば、迷惑がかかり、面倒が起こる。
よくも悪くもしがらみのある家柄だった。
もちろん、私も人間なのでわずかに独立心が芽生えたことはあった。中学生の頃だ。
私には好きな人がいた。初恋だった。
いずれ私は、同じような家柄、資産のある家に嫁がされる。それならその相手くらいは主張しよう。子どもらしい我儘を言って、その男性と婚約させてもらおう。
家同士の格は問題ないはずだし、親に決められてしまう前に、意見を差し挟める可能性があるなら言っておかないと。
将来の夢はお嫁さんに限定されている。それなら、好きな人の下へ嫁ぐ夢くらい見たい。
チャンスは今。なにしろ、彼は私より五つ年上の大学生だった。
『奏士くんの留学が決まったぞ』
父にそう言われたのは、まさに私が婚約について相談しようとしていた矢先だった。
三栖奏士さんとの婚約を……。
『奏士くん、アメリカの大学を出たら、そのまま向こうで暮らすんでしょう』
『三栖の海外拠点のトップに就くそうだ。今は玄社長の叔父がついている役職だな。三栖グループ本体の後継者は兄の隆士くんだから、順当な話だろう』
私の初恋の人はアメリカへ旅立つ。卒業後も海外で活躍する予定だそうだ。
そんな人との婚約を願い出るほど、私も厚かましくなかった。