捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
「日本へはお仕事なのかな。奏士さんとは懇意ということ?」
「ええ、奏士社長はアナのお気に入り。……というか、娘のマノンが奏士社長を気に入ってるのよ」

アナ・ミラーは若い頃フランス人の映画監督と結婚歴があり、確か二十代前半の娘がいたはずだ。その女性がマノンという人だろうか。

「マノンはモデルをしてるの。ハイブランドの専属モデルでプロモーションの関係で来日したなんて言ってるけど、絶対奏士社長を追いかけてきたんだと思う。ママ同伴で会食を申し込んでくるんだもの。社長も断れないわよ」

沙織さんがスマホで検索をかけてくれる。マノン・ルーセル、父方の名前を名乗っているそうで、すぐに画像が出てきた。

「わ、美人」

スマホの画面を見て、思わず感嘆の声をあげてしまった。マノンは長い黒髪のスタイル抜群の美女だった。母親のアナは金髪碧眼なので、父親似なのだろう。しかし、母親の目鼻立ちのはっきりしたところは彼女に遺伝している。

「こんな人が……奏士さんを好いてるの?」
「ちょうど一年くらい前、パーティーで会ってね。熱烈よ。アナも奏士社長がお気に入りだから、娘の夫にちょうどいいと思ってる感じはするわね」

すっと伸びた長い手足、肉感的なバストとヒップ、目を惹く美貌。神様が作り上げたようなバランス……。
ああ、隣に並んだら、私は幼児みたいに見えてしまうだろう。
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