捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
三栖家は古くは江戸時代から、宮成家のお抱えの商家だった。明治時代に宮成家が貿易を始めるとき、手助けしてくれたのも三栖家。昵懇の間柄なのだ。
現在は家柄こそ同格だけれど、三栖家は三栖株式会社を頂点に、三栖グループという多くの企業を束ねる立場。資産的な側面を見れば今や三栖家の方がずっと格上だ。
そんな三栖家との関係は中学生の私にだってわかる。未来の三栖の一翼を担う人の妻に立候補するには私はほんの子どもだったと気付いてしまった。
それに彼からしても、幼馴染でまだ中学生の私は妹にしか見えないだろう。
『里花、年に何度かは帰国するからほしいお土産はリクエストしておけよ』
アメリカに立つ直前、二十歳の奏士さんは我が家に挨拶に来て、そんなことを言った。
『奏士さんが元気に帰ってきてくれることがお土産かな』
そう言って涙を堪える私の頭を撫でて、彼は言った。
『里花はお袋みたいなことを言うなあ。大丈夫、健康に気をつけて、心配かけないようにするよ』
大好きです、だなんて、言えるはずない。
こうして、私の初恋は中学三年生で終わってしまった。
最初で最後の我儘は見せる機会を失ってしまったのだった。
現在は家柄こそ同格だけれど、三栖家は三栖株式会社を頂点に、三栖グループという多くの企業を束ねる立場。資産的な側面を見れば今や三栖家の方がずっと格上だ。
そんな三栖家との関係は中学生の私にだってわかる。未来の三栖の一翼を担う人の妻に立候補するには私はほんの子どもだったと気付いてしまった。
それに彼からしても、幼馴染でまだ中学生の私は妹にしか見えないだろう。
『里花、年に何度かは帰国するからほしいお土産はリクエストしておけよ』
アメリカに立つ直前、二十歳の奏士さんは我が家に挨拶に来て、そんなことを言った。
『奏士さんが元気に帰ってきてくれることがお土産かな』
そう言って涙を堪える私の頭を撫でて、彼は言った。
『里花はお袋みたいなことを言うなあ。大丈夫、健康に気をつけて、心配かけないようにするよ』
大好きです、だなんて、言えるはずない。
こうして、私の初恋は中学三年生で終わってしまった。
最初で最後の我儘は見せる機会を失ってしまったのだった。