捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
話題の転換のために軽口をたたいたつもりだったけれど、これはまずいことを聞いてしまったかもしれない。微妙な関係なのかしら。
「出会いが私の離婚だから、普通のご縁じゃないかもしれないけど、ふたりにはこれからも友人として仲良くしてほしい。いつも私を励ましてくれたから、頼りにしてるの」
ごまかして言うと、ふたりは焦ったように頷いた。
「この年で新しい友人ができるのでって嬉しいことよね。里花さんのおかげ」
「沙織ちゃんと功輔くんは俺にとっても大事な友人だから、姉さんが心配しなくても仲良くするよ」
やはりふたりの間には何かが育ち始めているのかもしれない。もしそうなら嬉しいけれど、私は見守るだけにしておこう。
その日帰宅すると、母が封書を差し出してきた。
めずらしい。手紙のようだ。送られてくるような相手は思いつかない。
母が差出人を指し示し、私はどきりとした。
そこには郷地京太の名前があったからだ。
「これ」
「不安なら、門司弁護士を通しましょうか。離婚が成立したとはいえ、あなたたち色々あったんだし」
「……大丈夫よ」
私は封筒を手に自室に入った。コートを脱ぎ、ベッドに腰かけて封筒を開ける。
正直に言えば、あまり進んで見たいものではない。数ヶ月の孤独な結婚生活、人間性を無視された日々を、いまだ忘れられていない。京太には会いたくないし、今後も連絡を取りたい相手ではない。
でも、わざわざ封書を送ってくるなら何か意味があるのだろう。
「出会いが私の離婚だから、普通のご縁じゃないかもしれないけど、ふたりにはこれからも友人として仲良くしてほしい。いつも私を励ましてくれたから、頼りにしてるの」
ごまかして言うと、ふたりは焦ったように頷いた。
「この年で新しい友人ができるのでって嬉しいことよね。里花さんのおかげ」
「沙織ちゃんと功輔くんは俺にとっても大事な友人だから、姉さんが心配しなくても仲良くするよ」
やはりふたりの間には何かが育ち始めているのかもしれない。もしそうなら嬉しいけれど、私は見守るだけにしておこう。
その日帰宅すると、母が封書を差し出してきた。
めずらしい。手紙のようだ。送られてくるような相手は思いつかない。
母が差出人を指し示し、私はどきりとした。
そこには郷地京太の名前があったからだ。
「これ」
「不安なら、門司弁護士を通しましょうか。離婚が成立したとはいえ、あなたたち色々あったんだし」
「……大丈夫よ」
私は封筒を手に自室に入った。コートを脱ぎ、ベッドに腰かけて封筒を開ける。
正直に言えば、あまり進んで見たいものではない。数ヶ月の孤独な結婚生活、人間性を無視された日々を、いまだ忘れられていない。京太には会いたくないし、今後も連絡を取りたい相手ではない。
でも、わざわざ封書を送ってくるなら何か意味があるのだろう。