捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
それ以来、誰かを特別に好きになる機会もないまま大人になった私に、ついに縁談の話がきたのが一年前。二十四歳の時だった。
『郷地(ごうち)家の京太(きょうた)さん。あなたより四つ年上の方よ』
郷地物産の社長令息である郷地京太という男性だった。郷地物産は、父の宮成商事とは取引関係にある商社だ。
『京太くんは、才気煥発、明朗快活。郷地社長を支えて頑張っている青年だ。きっと、里花を幸せにしてくれるよ』
『郷地物産は社長が一代で興した会社で、歴史はないけれど、今の時代そういったことに囚われないのも大事よね』
父と母の明るい表情に、私から言える言葉はなかった。
奏士さんの顔が浮かばなかったわけじゃない。
奏士さんがアメリカに行って九年。
最初の数年こそ年に何度も帰ってきてくれ、我が家にも顔を見せてくれたけれど、ここ三年ほどは帰国していない。向こうでのグループ運営がとても忙しいということは噂で聞いていた。
初恋に固執し続けても仕方ないことだとわかっている。今更未練もないつもりだ。
幼い頃から、自分の人生のレールはこうだと理解している。……私がいつまでも嫁にいかなければ、家族が困るのも知っている。
『わかりました。お会いします』
私は素直に頷き、見合いに了承した。
『郷地(ごうち)家の京太(きょうた)さん。あなたより四つ年上の方よ』
郷地物産の社長令息である郷地京太という男性だった。郷地物産は、父の宮成商事とは取引関係にある商社だ。
『京太くんは、才気煥発、明朗快活。郷地社長を支えて頑張っている青年だ。きっと、里花を幸せにしてくれるよ』
『郷地物産は社長が一代で興した会社で、歴史はないけれど、今の時代そういったことに囚われないのも大事よね』
父と母の明るい表情に、私から言える言葉はなかった。
奏士さんの顔が浮かばなかったわけじゃない。
奏士さんがアメリカに行って九年。
最初の数年こそ年に何度も帰ってきてくれ、我が家にも顔を見せてくれたけれど、ここ三年ほどは帰国していない。向こうでのグループ運営がとても忙しいということは噂で聞いていた。
初恋に固執し続けても仕方ないことだとわかっている。今更未練もないつもりだ。
幼い頃から、自分の人生のレールはこうだと理解している。……私がいつまでも嫁にいかなければ、家族が困るのも知っている。
『わかりました。お会いします』
私は素直に頷き、見合いに了承した。