捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
功輔さんが頭を下げる。
「沙織を許してやってください。由朗さんは宮成家の跡取り、いずれしかるべきところから奥様を迎えなければならない立場だと沙織も理解しています」
「ごめんなさい、里花さん。由朗くんを好きになってしまって」
沙織さんがしゃくりあげながら言う。
「誰と結婚してもいいの。幸せになってほしいから、いつだって身を引ける。だけど、元気でいてくれなきゃ駄目。由朗くんに何かあったら、……私……」
私は正面から沙織さんを抱き締めた。
私の方が背が低いから、子どもが背伸びして腕をまわしているような格好になってしまったけれど。
「由朗を好きになってくれてありがとう。好き合ってるふたりを引き裂くなんて、私は絶対にしないわ」
確かに由朗はいずれ、同じような家柄の女性を妻に迎えることになるだろう。少なくとも両親はそう考えているに違いない。
「両親を説得するときは、私も力を貸すから。由朗の容態は、まだなんとも言えないけれど、入院期間も自然に会いに来られるように協力する」
親が家の事情で恋人同士を引き裂いてはいけない。歪みは別なところに支障をきたす。私はもうそういう環境を充分に見てきた。だから、由朗と沙織さんには幸せになってほしい。
「まずは由朗の検査が終わったら、すぐに連絡するね。それから、由朗と過ごせるように計画を立てるから」
私は請け負い、沙織さんが泣きながら「ありがとう」を繰り返していた。沙織さんも功輔さんも、私が一番大変なときに一緒にいてくれた人たちだ。由朗のことは不安だけど、その裏で悲しませたくない。
「沙織を許してやってください。由朗さんは宮成家の跡取り、いずれしかるべきところから奥様を迎えなければならない立場だと沙織も理解しています」
「ごめんなさい、里花さん。由朗くんを好きになってしまって」
沙織さんがしゃくりあげながら言う。
「誰と結婚してもいいの。幸せになってほしいから、いつだって身を引ける。だけど、元気でいてくれなきゃ駄目。由朗くんに何かあったら、……私……」
私は正面から沙織さんを抱き締めた。
私の方が背が低いから、子どもが背伸びして腕をまわしているような格好になってしまったけれど。
「由朗を好きになってくれてありがとう。好き合ってるふたりを引き裂くなんて、私は絶対にしないわ」
確かに由朗はいずれ、同じような家柄の女性を妻に迎えることになるだろう。少なくとも両親はそう考えているに違いない。
「両親を説得するときは、私も力を貸すから。由朗の容態は、まだなんとも言えないけれど、入院期間も自然に会いに来られるように協力する」
親が家の事情で恋人同士を引き裂いてはいけない。歪みは別なところに支障をきたす。私はもうそういう環境を充分に見てきた。だから、由朗と沙織さんには幸せになってほしい。
「まずは由朗の検査が終わったら、すぐに連絡するね。それから、由朗と過ごせるように計画を立てるから」
私は請け負い、沙織さんが泣きながら「ありがとう」を繰り返していた。沙織さんも功輔さんも、私が一番大変なときに一緒にいてくれた人たちだ。由朗のことは不安だけど、その裏で悲しませたくない。