捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
明日は結婚式だ。離婚から一年と少し。奏士さんと再会してから数えれば一年半近い時が経った。
私が二度目の結婚になるので、結婚式自体はあまり派手にしたくなかったけれど、奏士さんの立場的にはまったくしないわけにもいかなかった。その代わり、招待客は少な目にし、なるべく双方の会社の社員を中心としたアットホームなお式にすることにした。

「お昼から挙式で、披露宴は長めで四時間半くらいあるのよね。父も由朗も飲み過ぎそうで心配」
「そのくらいないと全員とは話せないだろう」
「確かにねぇ」

宮成家や三栖家の親戚筋には、私と奏士さんの婚姻に苦言を呈する人もいたようだ。父や奏士さんははっきりとは言わなかったけれど、話を聞いていれば察することはできる。
そんな人たちには言わせておけばいいと私も今は思える。大切なことは、私と奏士さんが思い合って一緒になるということだもの。

「里花、今更なんだけれど」

お箸を置いて、奏士さんが私をじっと見つめた。

「なあに?」
「俺でよかったか?」

私は驚いて彼の黒い瞳を見つめ返した。奏士さんが困ったように笑っている。
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