捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
結婚式はアーバンコンチネンタルホテルのバンケットルームで行われた。
私と奏士さんのきっかけになったこのホテル。彼があの日、私をつらい境遇から連れ出してくれたから今日この日があるのだ。
参列者の前、私たちは向かい合う。宣誓し、指輪の交換、誓いのキス。まるで初めてみたいに式の間中、私はずっとドキドキしていた。
そうか、私は憧れの人の妻になるんだ。一度は諦めた人。恋を封印した人。
だけど、彼は私を見つけてくれた。
愛を誓ってくれた。
フラワーシャワーを浴び、奏士さんの横を歩きながら私はささやく。

「生きてきて今が一番幸せ」

奏士さんが笑ってささやき返す。

「その幸せを毎日更新する。約束するよ」
「嬉しい」

奏士さんは私の王子様だ。あなたと出会った幼い時分から、私はずっとずっとあなたの愛に包まれてきた。これからは私も同じだけ愛を捧げていきたい。


披露宴の後、由朗と沙織さん、功輔さんと五人で食事をした。ホテル上階のバーラウンジで慰労会のような二次会だ。

「あまり食べられなかったからお腹が空いてしまって」
「花嫁は忙しいから。お色直しも二回したものね」

ウエディングドレスのほかにカラードレスと色打掛を着たので、私は何度も入退場をしたことになる。写真を撮ったり、挨拶をしているうちに食事を取りそびれてしまったのだ。
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