捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
二次会を終えて私と奏士さんはマンションに戻った。本当はホテルに宿泊し、のんびりしようかとも話していたのだけれど、ハネムーンが明日の朝出発である関係で、一度帰宅することにしていた。

「くたびれたね」
「でも、明日は早いから、もう荷物を玄関に置いておこう」
「朝ごはんはフライト前に食べられるかな」

結婚式の疲労もどこへやら、私たちは明日からの旅行に胸を躍らせ、準備を始める。私はスーツケースを玄関に置き、当日着ていく服をハンガーにかける。荷物の最終チェックをしている奏士さんにお茶を淹れて声をかけた。

「奏士さん」
「なんだ?」
「あのね、ちょっと相談」

私の言葉に何かあったかと奏士さんが振り向いた。顔が少し緊張している。
私もドキドキしている。だけど、大事なことだから、今言っておきたい。

「赤ちゃんがほしいと思ってるの」

奏士さんが息を呑むのがわかった。吐息のような声が私を呼ぶ。
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