捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
里花の夫となった郷地京太と話しながらも、注意は里花に向いていた。さっきの表情はなんだったのだろう。明るく清らかな里花には見たことのない様子だった。

「里花、合わないでいるうちにいっそう綺麗になったね。俺が知っている里花はまだ蕾だったのに、今は大輪のひまわりみたいだ」

里花がくすぐったそうに笑う。もっと里花の表情の変化を見たい。
しかし、幼馴染とはいえ人妻になった女性にあまり親しくもできない。
パーティーに招くことでどうにか、また会えるように画策したのは、恋愛感情ではなく純粋に心配してのことだった。

その後、化粧室を出たところでばったり会った里花は、より暗い顔をし、俺を見て泣きそうな顔をした。
本人曰く、慣れない場所で疲れてしまったとのことだったが、それを簡単に信じていいかもわからない。
夫のもとへ戻るという彼女を見送り、俺の心は里花でいっぱいになっていた。

「もう、おまえのことを考えてはいけないのに」

里花は幸せなのだろうか。
彼女の手を取らなかった俺が、諦めてしまった俺が、こんなことを考えるのは傲慢だ。
だけど、俺の大事な里花が幸せでないとしたら……。


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