捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
沙織さんが思いついたように言う。

「そうだ。義理の両親に叱ってもらえばいいんですよ。息子が大事なお嫁さんを蔑ろにしてるんですもの」
「一度、京太さんのことを相談に行ったんですが……」

本人が開き直ってしまった後すぐに、私は義両親に会いにいったことがある。京太を諭してほしいと頼んだ私は、まだ夫婦関係の改善を願っていたのだろう。
義両親は私の訴えを一笑に伏した。

「言われました。『浮気は夫の甲斐性、そのくらいの遊びは本妻として寛容な心で許してやるものです』と。『あなたが子どもを授かれば、あなたと子どもに夢中になりますからなんの心配も要りません』だそうです」
「とんでもない連中ですね!」

昨夜同様、沙織さんがエキサイトしてくる。功輔さんが「沙織、黙って」と突っ込みを入れ、私を見た。

「失礼ですが、ご主人はあなたと関係を持つ気は当面ない様子なんですよね。愛人の家に入り浸りで」
「恥ずかしながら、女性としてはまったく相手にされていません」

結婚して半年経った今も、処女のままだとは思いも寄らなかった。この先、向こうの都合で、義務的に性行為を行い、子どもを授かることになるのだろうかと思うとぞっとする。

すると、コーヒーを飲みながらしばし黙っていた奏士さんがカップを置いた。
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