捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
3.限界
京太からしばらく帰らないと連絡があったのはパーティーの翌週だった。
何を今更と思ったけれど、わざわざ連絡をしてくるということは何かあったのだろう。
私は粛々と日々を過ごした。
結婚から七ヶ月。そのほとんどの時間を私はひとり自宅で過ごしている。掃除をし、ひとり分の食事を作る。暇な時間はたくさんあり、散歩をし読書をすることが多い。最近は夏が近づき暑い日が続いている。これからは散歩が減り、読書の時間が増えるだろう。
孤独。
退屈と孤独が、ずっと私の隣にある。子どもがいれば、まだ私はひとりぼっちではなかっただろう。
そう考えて首を振った。まだ京太とやり直せると思っているのだろうか。最初から私を疎んでいた夫だ。心を通わせる術などなかった。
だけど、もし京太が心を入れ替えてくれたらどうだろう。愛人たちと別れ、私と家庭を営んでいきたいと言ったらどうだろう。一方的に私を嫌うのではなく、本心を見せてくれ、私に『こんな妻であってほしい』と求めてくれたらどうだろう。
そうしたら、私はきっと嬉しいのだ。
縁あって夫婦になった。最初、私は彼を愛そうと努力した。彼も同じだと信じて。
大きな裏切りにあい、期待もしていなければいっそ嫌悪すら感じているのに、まだ可能性を捨てていないのは、私のご都合主義の思考のせいだろうか。だって、この結婚を破綻させたら、嫌なめに遭うのは家族だ。