捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
その後、奏士さんに伴われ、私は久しぶりの実家へやってきた。沙織さんと功輔さんも一緒だ。

「どうしたの? 里花」

平日の夜、突然奏士さんと現れた私に両親が驚いた顔をする。由朗も奥から出てきた。

「お母さん」

母の顔を見たらもう駄目だった。私は涙し、奏士さんが支えてくれる。

「里花、何があったんだ」
「姉さん、……皆さんも中へ」

由朗に促され、私たちは室内へ入る。こんな形で実家に帰ってくることになるとは、私も両親も思っていなかっただろう。
それから私は事の次第を話すことになった。

「どういうことだ? 愛人? 京太くんは何人も愛人を持った状態で結婚したというのか」

話を聞き終わるやいなや、父の怒声が響いた。私は頷いた。

「どうしてもっと早く言わなったの? 半年以上も耐えていたなんて」

母も言い、由朗が私をじっと見る。

「姉さん、俺と会ったとき、なんで言ってくれなかったんだよ。やっぱりあの男、ろくでもなかったんだな」
「里花はおじさんとおばさん、由朗に心配をかけたくなくて黙っていたんです。……俺にも最初は隠していました」

奏士さんが執り成すように言う。

「どうしても放っておけなくて連れてきました。俺は里花を郷地京太のもとへは帰したくありません」
「もちろんだ。里花はもう郷地家には渡さないぞ」

父が怒りに拳を震わせ言い、母と由朗も頷く。
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