捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
「だけど、里花。それは精神的な暴力だ。浮気された上に、愛人と上手くいかないから出ていけだなんて……あの男よく言えたものだな」
「最初から、愛のない政略結婚だとはわかっていました。ですが、ここまで嫌われているとは思わなくて……。夫とは男女の関係になったこともないですし、最近は週に一度顔を見ればいい方というくらいで……」
「ひどくないですか?」
怒鳴るように言ったのは沙織さんという女性。横で功輔さんという男性も言い添える。
「あの……それはもう夫婦ではないのでは……」
夫婦ではない。そうなのだろう。きっと最初から、私たちは夫婦ではなかった。
奏士さんが私の顔をまっすぐに見つめた。
「里花……、この前会ったときには、もうそういう状態だったってことだよな。なぜ、俺に言ってくれなかった? 俺はおまえが子どもの頃からの知り合いなんだぞ」
「言えませんでした」
私はうつむき、涙に耐えた。
幸せな結婚をしたと思われたかった。
見栄のためではない。奏士さんに心配をかけたくなかったし、奏士さんの口から家族へ真実を告げてもらいたくなかった。両親と弟は私が幸せな結婚をしたと思っているのだ。
「最初から、愛のない政略結婚だとはわかっていました。ですが、ここまで嫌われているとは思わなくて……。夫とは男女の関係になったこともないですし、最近は週に一度顔を見ればいい方というくらいで……」
「ひどくないですか?」
怒鳴るように言ったのは沙織さんという女性。横で功輔さんという男性も言い添える。
「あの……それはもう夫婦ではないのでは……」
夫婦ではない。そうなのだろう。きっと最初から、私たちは夫婦ではなかった。
奏士さんが私の顔をまっすぐに見つめた。
「里花……、この前会ったときには、もうそういう状態だったってことだよな。なぜ、俺に言ってくれなかった? 俺はおまえが子どもの頃からの知り合いなんだぞ」
「言えませんでした」
私はうつむき、涙に耐えた。
幸せな結婚をしたと思われたかった。
見栄のためではない。奏士さんに心配をかけたくなかったし、奏士さんの口から家族へ真実を告げてもらいたくなかった。両親と弟は私が幸せな結婚をしたと思っているのだ。