捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
沙織さんが帰っていき、私は由朗と中庭の草木に水やりをした。シャワーをあび、部屋に戻ると、スマホにメッセージが来ていることに気づいた。

「京太……さん……」

郷地京太のアイコンにメッセージのマーク。私はタップし、メッセージを開く。

【里花、元気にしていますか。】

いきなり私を気遣う文面に面食らう。メッセージは続く。

【一度ふたりで話をしたいと思っています。俺たちのこれからについて。】

これから……関係の再構築ならもう話すことはない。離婚に向けてなら話すことはあるけれど、おそらくもう私と京太ふたりでは話さない方がいい。お互い、弁護士を挟んで話し合うべきだ。

【どうか明日の十五時、アーバンコンチネンタルホテルのラウンジにひとりで来てくれないか。里花が望むなら離婚も視野に入れて話し合いをしたいと思ってる。】

離婚……。
離婚に応じないと言っていた京太が、考えてくれると言っている。

もしかすると、京太は両親の庇護から抜け出す覚悟を決めたのかもしれない。摩耶さんとお腹の子のために、私と前向きに離婚の話し合いを持ってくれるのかもしれない。

【俺の女性関係などの話もすることになる。そちらの弁護士には知られたくないし、穏便に話を進めたい。どうか、里花ひとりで来てほしい。】

私は少し迷い、返信した。

【わかりました。伺います。】







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