捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
5.決着
奏士さんと門司弁護士には連絡をした。京太と会ってくる。ホテルのラウンジだから、何かあっても人の目がある。ふたりきりでも問題ない。
奏士さんは門司さんの同行を勧めたけれど、私は断った。京太は歩み寄ろうとしてくれているかもしれない。愛人問題を隠している京太だ。私が門司弁護士を連れていったら腹を割って話してくれるとは思えない。
「夫と話す最後のチャンスかもしれないんです」
心配して電話をくれた奏士さんに私は訴えた。
「縁あって一緒になった人です。こうなってしまったけれど、最後はお互いに納得して別れたいんです」
京太は私に気持ちはない。私も彼に気持ちはない。互いの条件さえ合えば、離婚は適うのだ。
『わかった。でも、くれぐれも油断しないようにしてくれ。向こうの気持ちが本心かわからないし、離婚に応じるとしても有利に進めたいと思っているはずだから』
奏士さんは、一応は納得してくれた。何かあったら近くに待機している功輔さんに連絡するのが条件だ。
『俺もいつでも行けるようにはしておく』
「奏士さん、ありがとう。離婚に向けて話してきます」
自分自身のためにも、待っていてくれる奏士さんのためにも、私は京太と離婚する。