捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
シャツの襟を乱暴にはだけられ、ボタンがいくつか飛んだ。どうしよう、このままでは身体を自由にされてしまう。こんな乱暴で妊娠してしまったら、子どもはどうなるだろう。不幸な子だ。今度こそ私は逃げられなくなる。

「いい加減、ご両親の言いなりになるのはやめてください!」

京太の身体を押しのけるため、腕をつっぱり必死に叫んだ。

「あなたはお義父さんとお義母さんの言いつけに従うことしかできない子どものままだわ! 私なんか抱きたくもないくせに!」
「うるさい、黙れ! 男は嫌いな女でも抱けるようになってるんだよ! ひどくされたくなかったらおとなしくしてろ!」
「離して!」

私は思い切り京太の胸を叩いた。たいしたダメージにならなくてもいい。涙の滲んだ目で睨みつけ怒鳴った。

「これで妊娠したらあなたみたいな子どもがまた増える! 摩耶さんの産む赤ちゃんはこの先どうなるの? 私が産まされる赤ちゃんはどうなるの? 子どもはあなたやあなたのご両親の都合のいい道具じゃない!」

京太が怯んだような顔をした。私は渾身の力で京太を押し、叫んだ。

「あなたみたいな可哀想な子どもを増やさないで!」

その言葉に明らかに京太の拘束が緩んだ。表情に狼狽が見て取れる。
< 87 / 193 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop