捨てられ妻の私がエリート御曹司に甘く娶られるまで
奏士さんはしばし黙り、沙織さんの方を見やる。

「沙織、今夜、里花をおまえの家に泊めてやれないか?」
「もちろんですよ、そんな旦那のところにやれるもんですか!」

誰よりエキサイトしている様子の沙織さんが答え、功輔さんが言った。

「明日には当面不自由せずに暮らせる場所をご準備します」
「そうと決まれば、今日はもう遅いし休もう。沙織、里花を頼む。……里花」

奏士さんに呼ばれ、私は彼を見つめる。

「明日、詳しく話そう。きっと疲れてる。よく休むんだ」
「はい、奏士さん。何から何まで申し訳ありません」
「やめてくれよ。兄妹みたいに育った仲だろ?」

優しく笑う奏士さんの笑顔に、私は涙を飲み込むので精一杯だった。


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