不条理なわたしたち
私達は話しながら必死にピースを埋めていた。


「そろそろ寝ようか。明日も仕事だしね」

蓮水さんに声を掛けられて時計を見ると零時近かった。
私達は相当夢中になっていたようだ。
パズルは難解でまだ五分の一も出来ていないが、

「楽しいですね。明日もやりましょう」

蓮水さんに笑顔で提案すると彼は優しく目尻を下げた。

「そうだね。ベッドに行こうか」

同調した後の言葉に、全身には緊張が走って鼓動が跳ねた。

立ち上がったグレーのパジャマ姿の蓮水さんがそんな私に手を差し向ける。

緊張が増していくのを感じながら、その手に自分の手を乗せると立ち上がらせてくれた。
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