不条理なわたしたち
つい、ほわぁと見惚れてしまい、慌てて頷いた。




「あの展開は予想してませんでした!まさかのどんでん返し!これは初登場一位を獲るはずです!すっごい楽しかったですね!」

エンドロールが流れ終わって明るくなると、私は隣の蓮水さんに両拳を握りしめて興奮しながら熱弁していた。
キョトンとした顔でこちらを見ている蓮水さんを見つけると我に返り、恥ずかしくなった私はパッと顔を膝に向ける。

「あ、ごめんなさいっ」

「何で謝るの?」

クスッと笑い声が聞こえると右隣に座る蓮水さんは私の右耳から溢れ落ちていた髪を掬い上げると耳にかけた。
その指が私の髪を撫でるから、落ち着かなくて顔を向けると、柔和な表情を蓮水さんは私に向けていて変に鼓動が跳ねた。

「葵ちゃんの大興奮する姿も見れたし、俺は大満足」

しかもその顔でそんな台詞を言われたら、益々鼓動は飛び跳ねる。
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