不条理なわたしたち
「和食の方が好きですけど、仕事終わりに食事を用意しなくても良いのは凄く助かってますから」

蓮水さんがこれ以上不安にならないように言葉を並べると、蓮水さんはホッとした顔をしてくれて、私も安堵した。

「あそこの定食屋さんにしようか」

指を差した先のガラスの奥のディスプレイには、カツの定食、刺身定食、天ぷら定食などの和食が並んでいる。

「蓮水さんは良いですか?」

「勿論。明日からの夕飯も和食に変えるね」

笑顔で言った蓮水さんに目を見張る。
確かに毎日呪文の料理を食べるのは流石にキツいが、世帯主で主導権を持つ蓮水さんに私の主張を押し通すのは流石に気が引けて、私は焦って取り繕う。

「えっ!?そんな私に合わせなくても大丈夫です!」

「俺がしたいことだから」
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