不条理なわたしたち
「今は俺を見て」

蓮水さんは私を見据えながら、この手を離してというように、私の指にゆっくりとリップ音を立ててキスを落とした。

刺激的すぎる彼の行動にゾクっとして身を捩ってしまう。


「だ、だめ……っ」

「何で?」


拒む私をまた誘うように、私の指にキスを落とす。

ザラザラした熱い舌が私の指の上を這う。

私の理性は崩落寸前。


「アイツは今、違う女としてるよ」


そこに追い討ちをかけてきた。


その言葉は、ズルい……。


私は完全に動けなくなって、涙がまた溢れて流れた。


「俺がいるから」
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