不条理なわたしたち
「きっと突然のことにパニックになっちゃってるんですよ!」

「俺は冷静に考えているよ」

「赤ちゃんのためですよね!?私のこと好きでもなんでもないですから!」

「好きだよ」

目の前の蓮水さんは優しそうに目尻を下げた。

まさかの言葉と態度が返ってきて、私は目を丸くした。


「君のことは可愛いと思っていた程度だった。アイツが君を裏切ったと聞いた時だ。君が可哀想だと思うより、君をこのまま掻っ攫おうって思う自分がいた。そこで俺は君が好きなんだって気付いた。きっとアイツがストッパーになっていたと思う」

そしてまさかの告白を始めた蓮水さん。


「だからあの日、君を連れ帰った。最初は押し倒すつもりはなかったけど、君がずっとアイツのことで泣いているから苛々してしまって、君を強引に手に入れた。今はこんな形でも、君が手に入るのが嬉しくて堪らない」

彼から見れば私は子供にしか見えないと思っていた。
毛色が違う女で遊びたかっただけかと思っていた。
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