不条理なわたしたち
「隼斗君がそんな男だったとはね。許せないな」

蓮水さんの低い声が更に低くなった。

きっと私の味方についてくれた。


「そんな男にいつまでも泣いて、時間を使うのは勿体無いよ」

泣いて突っ伏したままの私の頭には、ずっと優しい手付きの蓮水さんの手が乗ったまま。

少し心地好くて鼻を啜りながらそのままでいると、私の茶色い髪を優しく梳き始めた。

心が擽ったく感じて、私はガバッと顔を上げた。

「じゃあ付き合って下さい下さいよ!マスター、おかわり!蓮水さんも飲んで下さい!奢りますから!」






目を開けたら、真っ暗な場所だった。
あれ?私、バーでお酒を飲んでいたはず。
いつの間にか寝てたの?
これ、フカフカの布団かな?
うちの布団よりフカフカだぁ。
寝心地の良さに感動して頬擦りした次の瞬間、落ち着いてはいられなくなった。
< 5 / 120 >

この作品をシェア

pagetop