不条理なわたしたち
朝は蓮水さんが焼いてくれたハムエッグにトースト。

「朝はコーヒーとか紅茶飲んでる？カフェインが赤ちゃんには良くないらしいから、葵ちゃんは今日から禁止ね。はいコレ飲んでね」

目の前に出されたのは、昨日蓮水さんがコンビニで買っていた物の中の一つの麦茶のペットボトル。
ラベルにはノンカフェインと書かれていた。

「ご飯を食べたら出発するよ」




支度を終えて、向かったのは地下の駐車場。
整然と並ぶ車の中、一台の黒い車の前で蓮水さんは止まった。

「こっち。乗って」

右側の席の扉を開けて言った。

左ハンドルで、有名な高そうな外国車。
車内はやっぱり蓮水さんの香りが染み付いていた。

乗り込むと住所を訊かれた。
抵抗しても無駄だと観念し、素直に伝えた。
蓮水さんがカーナビに住所を登録していく。
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