不条理なわたしたち
連れて来られたのは和風の趣のある懐石料理店。
こんな場所に来たこともない私は入り口の前で固まってしまった。
そんな私の手を蓮水さんは引っ張った。

通された部屋は個室。
和室で高そうな花瓶には綺麗な花が飾られていた。

安物の服を着ている自分を見ながら場違いだと思った。

注文は蓮水さんがしてくれた。
だってメニューに金額が載っていないせいで頭が真っ白になったから蓮水さんに任せることにした。


「次は結婚指輪を買いに行こうか」

「結婚指輪!?何でそうなるんですか!?」

注文を終え、二人きりになると飛び出した蓮水さんの一言に場違いな大声を出してしまう。

「あ、まずは婚約指輪か」

にっこりとサラリと付け加える。
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