不条理なわたしたち
妖しく上がる口角。
蓮水さんのしたいことが分かった。
焦った私は蓮水さんの手を掴んだままの両手にグッと力を込めた。

「赤ちゃんがいます!」

「赤ちゃんいても激しくなければ出来るらしいよ。今日お医者さんから聞いたから本当だよ」

蓮水さんの言葉にいつの間にそんなことを訊いたのだと目を見開いた。
赤ちゃんがいても性行為が出来るのは知らなかった。

すると驚いたことに手の力が弱まった隙をついて、捕まえていた蓮水さんの手が私の手の中から逃げていった。

「あの日、君を抱いたのは慰めたかったからじゃない。俺の欲望を君に知らしめたい」

その手は私の衣服の上をゆっくりと動き、私は身体を震わせた。

「今日は優しくする。嫌なら突き飛ばして」

蓮水さんはそう言うと私の履いていたスカートのファスナーを下げた。
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