不条理なわたしたち
今私達は一緒に早めのお風呂に入っている。
汗を掻いたからお風呂に入ろうと提案された。
蓮水さんが私が心配だから一緒に入ろうと言い張り、退いてくれなくて、今に至る。

「……心配するならあんなことしなければ良いんですよ」

「それは無理。もっとしたいの我慢してるくらいだし」

蓮水さんが私の首筋にキスをした。
ゾクっと身体が反応して、反論したことを一瞬で後悔した。

「俺に抱かれたね」

わざとらしい言葉を耳元で言われて鼓動が騒ぎ出した。

「俺のこと、好きになってくれたって思っても良い?」

「違います!」

「そんな力強く否定されると傷付く」

蓮水さんの力ない声に申し訳なくなった。

「ご、ごめんなさい……」

蓮水さんは簡単に流される女だと軽蔑しただろうか。
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