不条理なわたしたち

「さっき話中断しちゃったからね、もう少し話をしようか。君を長い時間立たせたくないからソファに先に行ってて。髪を乾かしたらすぐに行くよ」

ドライヤーを切ると蓮水さんが言った。
誰のせいで中断したんでしょうね。と言いたいが、言ったら変な反撃を食らいそうで黙ってパウダールームを出た。

廊下に出ると化粧水をつけていないことに気付いて自分のトランクを置いた玄関横の部屋に向かった。

化粧水をつけながらすっぴんだということに今更気付いた。
メイクと言ってもナチュラルなものだし、それに二か月前にすっぴんより酷い泣き顔を見せているからもう今更かと気にしないことにした。

お手入れを終えると言われた通りにリビングに向かう。
ソファに座るとすぐにラフそうな服を着た蓮水さんがミネラルウォーターのペットボトルを持ってやってきた。

「勝手に冷蔵庫漁って飲んでくれて良いからね」

「ありがとうございます。頂きます……くしゅん！」