不条理なわたしたち
「十二週目までは十五分の手術ですぐ終わる。痛みも無い。でもそれを過ぎると君の身体にも負担がかかる。リミットは二十二週目まで」

「え?」

蓮水さんが話したことを理解出来ず、口からは言葉が漏れた。

「堕胎の話。今日、先生にこっそり訊いといたから」

どんな気持ちで訊いたのだろう。

儚げに笑う蓮水さんの目を見たら胸が苦しくなった。

「嫌だけど……もし堕ろすなら、あと二週間以内にして欲しい。君の身体も心配だから」

どんな気持ちで言ってくれているのだろう。

「この話は俺からは二度としない。堕ろして欲しくないからね。でも君が決めたことは絶対に従う。もし堕ろすと決めたとしても」

私の意見を尊重すると言った蓮水さんに益々胸は苦しくなるばかり。
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