不条理なわたしたち
「君と居るとまた手が出そうだから、俺は晩ご飯が来るまで仕事するよ。何かあったら呼んで?」

蓮水さんは私の頭にポンと手を乗せると、リビングから出て行った。


静寂が訪れた広いリビングで一人考える。

蓮水さんだって昨日突然聞かされて混乱したはずだ。

それなのに責任を取ろうとしてくれている。

更には私にちゃんと向き合わせようとしている。

私は最初から逃げる選択しか選ばなかったのに……。


私はスマホを持つと堕胎と検索した。
堕胎出来るのは妊娠二十二週未満らしい。
十二週以降に堕胎する場合は死産届けが必要となるらしいし、蓮水さんの言う通り母体にも負担がかかるようだ。

私はあと十一週以内に決断しなければならない。
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