最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~
「残念ながら他の人は逃げました。ここに残っているのは俺と闇姫センパイとそこの彼。ほら、早くしないと暴走してる彼…死んじゃうっスよ?」

「…名前はあとで名乗ってもらう。
一瞬だけでいい、壱流を…彼を引き付けて」


「ハイっす。闇姫センパイ」

「……」


切羽詰まった状況だったから頼んだけど、彼は一体何者?


ただの人間に壱流の動きを止められるとは思えない。


「う、そ」


壱流の攻撃をすべてかわしている。


「私も行かなきゃ…彼が壱流の相手をしてる今がチャンスなんだから」


私は全速力で走り、壱流のほうに向かう。


飛んでくる壱流の攻撃。それは未完成だけど、吸血鬼が使う炎や雷の能力。


私、こんなのを壱流が使ったところを見たことない。


「強者の吸血鬼しか普通は使えないっスよ、アレは」

「だったらなんで」


「暴走してるってことは身体能力をすべて引き上げてるということ。つまり、彼の限界が近いって事っすよ」

「限、界?」


「そうっす。このまま街を巻き込み最後は……。闇姫センパイ、おとり役上手くやりますから安心してくださいね」

「え、えぇ…」


初めて会ったはずなのに彼はなぜ私が闇姫だということも壱流のことも知っているの?…それはあとでじっくり聞けばいい。
< 192 / 206 >

この作品をシェア

pagetop